陸章 毛花売りの少女

フツーに名前を言ってください

ある日、早朝からヘンな電話が立て続けに二本かかってきた。一本目はセールスだったので、即切り。その直後にかかってきた二本目は「ミラクルなんちゃらワールドの○○です」なんて言うものだから、てっきりこれも怪しいセールスの類かと思ったのだが、以前商品を買ったお客さんだった。

てゆーかフツーに名前を言ってください。

筆者はそのお客さんが「ミラクルなんちゃらワールド」とかいう団体(芸名?)の構成員であることすら知らなかったから、そう名乗られてもそもそも意味がないし、第一このアタシに何かしらパフォーマーであることをアピールしても大いに無駄ですから。

因みに、この頃ちょうど大口注文を受けていて、こういう忙しい時に限ってちょこちょこと小さい注文まで舞い込んできて、おまけに皆が皆「夏のマジックショーで使うから」とかなんとか言って急かすのだ。皆さん、もっと練習してから出演することにしません?「夏のマジックショー」は大いに期待出来ないに違いない、なんて思ったり。

さて、それからしばらく日が経ってから、またヘンな電話が二本あった。一本目はは調理中にかかってきたのでシカトしていたのだが、なんだかいつまで経っても鳴っている。中華鍋に火を入れた頃に鳴り始め、おかずが出来上がり、それを食器に移して鍋を洗い終えるまでずっと鳴っていたから、かれこれ五分以上は続いていたことになる。コレをシカトし続ける方もどうかと思うが、諦めない相手も相当なものだ。て言うか、ウチはさほど広くはないから、近しい人なら一分も鳴らして出なけりゃいないことはわかるハズなので、そういう相手からの電話でないことは確か。結果的に、出なくても問題ありません!案の定、出てみたら…ムゴン…。

借金取りか何かが嫌がらせする相手を間違えてかけてきたのか?

二件目は…なんとまた「なんちゃらワールド」のオバさんである。だからフツーに名前を言ってくださいってば。それとも筆者が知らないだけで、「なんちゃらワールド」は巷で有名な団体なのか?オバさん、ひょっとして有名人?
実はこのオバさん、以前にかなりのオトナ買いをしてくれた方。この時はコンテストに出る準備をしていたらしい。で、つい二、三日前にご注文の商品を送ったのだが、ソレを見たら別の色の商品も欲しくなったという。「練習するとボロボロになってくるから」って…そんなに練習してくださってるんですかっ?なんてステキなお客様でしょう!(年配のアマチュアの方々の大半は、まるで練習というコトバを知らないかのように、殆ど練習をなさらない。)