陸章 毛花売りの少女

間抜けな問い合わせ

毛花工房へはお客さんからはイロイロお問い合わせが来るのだが、その中には至極間抜けなモノがある。お客さんというのは大体そんなモノなのだろうか?それともマジック界のお客さんに限ったことなのだろうか?

ある日、こんなメールが届いた。

「『Lecture Note B5版10ページ 3000JPY 』はDVDで発売はしてないですか?」

レクチャーノートとは、毛花を使った技法をイロイロと解説した印刷物で、その一部の内容をDVD化した商品も販売している。そしてそのことはサイト内にごく標準的な日本語で詳しく書いてある。「Lecture Note  B5版10ページ 3000JPY」という記述はそのサイトからそのままコピったモノだと思われるので、この方がそのサイトを見ているのは明らかである。改めて問い合わせをしなければ理解できない程、日本語読解能力が乏しい方なのだろうか?

続いて同じ方からまたまたヘンなお問い合わせが。

「倉庫の方に青系の Carnation Routine Set 1b-8 gavf がありますが、青系の暗めの服なんですが、見栄えはあると思いますか?」

倉庫?ショッピングカートのことだろうか?ここで引き合いに出された「Carnation Routine Set 1b-8 gavf」なるセット商品は紫系四色の花束で構成されている。常識的に考えて、暗い青系の衣装に映えるとは思えない。いちいち質問して確認取らなきゃわかんねのか?て言うか、こっちには毛花の色の情報しかなく、先方にはそれプラス「実際の衣装の色」という情報がある。こちらは衣装の写真すら見ていないのだ。判断材料として的確なものを持っているのはむしろ先方だと思うのだが。「見栄えはある」と言うのも甚だヘンな日本語だし。

続いて同じ方からまたもや頓珍漢な質問が。

「どんな色でも(服や舞台が)映えるにはどんな花の色にしたらいいでしょうか?」

そんな万能な道具があったらアタシの方が欲しいわぃ。新商品開発するかねぇ。「スイッチ一つで色を変えられる毛花」、とか。

人に質問する時は、その場で出来るあらゆる情報収集をして状況を分析してから、それが的確な質問であるかどうか判断した上でするようにしよう、と、改めて心に誓った次第である。