伍章 外国でも七転八倒

荷物が減らない

シゴトに出掛ける時は、シゴト用の荷物だけでスーツケースがほぼ一杯になってしまう。それ以外の私物はバックパックに詰めて無理矢理「手荷物」として機内に持ち込むのだ。原則的にはこんなに大きくて重い荷物を持ち込むのは認められていないが、通常黙認される。コレまでこの点を敢えて咎め立てしてきたのはキャセイ・パシフィック航空くらい。チェックイン時、搭乗時ともに執拗に荷物の計量をさせられて、その都度ダメ出しされた。結局係員がよそ見をしている間にするりと通り抜けて出し抜いたが。キャセイさん、アタシはもう二度とお宅を利用いたしません!!

さて、前出のタイのイベントで毛花の販売ブースを出させてくれると言うので、一応商品も持って行った。この頃ブースでは真面目に働かない自分を知っていたし、イベントの性格から客足もイマイチなことが充分予測出来ていたため、少なめの分量にしておいた。ところが、予想を遥かに遥かに下回る客足。売上はどうでもいいのだが、荷物が減ってくれないとタイ土産の買い物が出来ないではないかっ!

そこで、知り合いに商品を無料、あるいは割引奉仕する計画に出た。興味を持っていそうな人に狙いを定め、追加注文の可能性を高めそうな品目を選んで差し上げたのだ。まずは、我が工房自慢のバラ型の毛花に瞠目した知人の男の子に一本サンプルとして差し上げた。喜んで受け取ってくれたはいいのだが、彼は、なんと…自分のショーのDVDやらオリジナルトランプを「お返し」にくれてしまった。差し上げた商品の三倍以上の重量と嵩がある…ぅぅう。

さて、イベントが終了した。殆ど売上はなく、荷物は全くと言っていい程減らなかった。だから、と言うワケでもないのだが、主催者の男の子に毛花の手順セット一式を差し上げることにした。これで商品一セット分のスペースがワタシのモノに♪と思ったのも束の間。ナント彼はそのハコの三倍以上もの嵩のある、巨大な箱入りのトリックカードセットをお返しにくれてしまったのだ!

ぁぁぁ!

おまけに、彼はハコの表に、筆者の名前と彼のサインと、そして「Good Friend」というメッセージまで書いてくれたではないか!ぅう!嬉しいけど、ビミョー…。コレでは誰かカードマジック好きな他人に譲ってあげることも出来ないではないかっ!

荷物を減らす最後の手段、と思い、某金持ちタイ人の知人に「商品余っちゃったから、良かったら引き取って~~~」と、余り期待もせずに言ってみたら、ちょうど筆者の帰国日にマジックサークルのミーティングがあるから、そこでブースを出すといい、と言ってくださった。お陰で荷物がやや少なくなった。そしてその知人にも御礼に何点か差し上げた。そんなこんなで、ようやく、スーパーで買い込んだお土産用食料品のスペースを作り、来た時よりやや多い程度の荷物で帰ることが出来たのである。幸いこの場をアレンジしてくれた知人本人は不在で、御礼は息子さんに託したので、何か巨大なお返しを頂くことは無かった。一件落着。