四章 マジック界の困った人々(男子編)

生意気なコゾーはママと一緒だった

以前一緒にシゴトをしたことのある生意気なドイツ人のコゾーに、北欧で行われたイベントで再会した。なんつーか、顔つきに人を小バカにしたような表情が張り付いたコゾーで、小さい時からおだて上げられて育ってきて自分は大層な偉物だと勘違いしている類なのかも、と筆者は勝手に想像していたのだが、あながちそれは的外れでもなさそうだった。なんと彼はぱぱ・ままと一緒に会場に来ていたのである。二十歳も過ぎて過保護過ぎやしないかい?まーままとぱぱも単に北欧旅行がしたかっただけかもしれないけど。

イベントの最終日、コンテストの予選通過者たちの演技が終わった後の休憩で、筆者はぱぱ・まま&コゾーの三人に出くわした。会うなりコゾーは「誰がグランプリだと思う?」と訊いて来た。会場はエラい盛り上がりようで、誰が取ってもおかしくないような状況。アタシの好みで言えばあの人かなー、あの人も良かったしなー、という事を口にした途端、コゾーは訊いてもいないのにエラそーに口上を並べ立て始めた。つまり、こちらがそもそもの目的であり、筆者の答えなどどうでも良かったワケだ。あるいは彼のご意見の引き立て役くらいにはなったかもしれないけれど。

「僕は誰もふさわしいと思わないね。○○は確かにカリスマ性があって抜群の演技をしたけど、マジックとしてなんたらかんたら…」

「△△だって、いろいろ軌跡が追えてしまったし、グランプリとしてはどうかと思う」

えーっと、キミ、何様ですか?

そりゃ、自分のコトを棚に上げてあれこれエラソーに発言するのは禁止されているワケではないけれど、つまりキミは、アタシをわざわざ捕まえて、その発言をしたいがために「誰がグランプリか?」と前振りしたワケでしょう?なんか、自意識過剰振りが見栄見栄でヤなカンジだった…。

それだけ人の演技についてあれこれ意見出来る力をお持ちなら、もっとご自身の演技を客観的に見つめなおす努力でもしてみたらどうかな?と言うのも、彼は自身の演技中も終始自意識過剰な態度をちらつかせており、一人で先走るばかりで全然客との呼吸が合っていないのだ。小手先の業を見せびらかして、どうだ、どうだ、という想いばかりが伝わってくるのだ。

まージュニア世代から「天才!」「わんだほー」「ブラボー」とおだて上げられたキッズマジシャン上がりだから仕方ないのかな?彼はこの先きっと伸び悩む、と予想しているのだが、ハテ、どうなることやら。