弐章 マジックよりフシギ過ぎる我が生活

仕事をしなさい!

ある時余りにヒマだったので、以前仕事を頂いた羽振りの良い業者さんに「ナンカ仕事ないですか?」と訊いたら「ある」とおっしゃるではないか。取るもの取り敢えず、「資料送ってください!」と飛びついた。一つは商品の平面デザイン、一つはマジックのレクチャーDVDの日本語解説作成である。レクチャーDVDとは、マジックのネタをとことん丁寧に映像で解説したものなのだが、海外発の商品も多い。英語のヒアリングが苦手な人は買うのに二の足踏んでしまうらしく、多少経費をかけても日本語解説書をつけた方が商品が良く売れるのだそうだ。

デザインの方は、もー、こーゆーのは大好きで大好きで仕方がないので、かけなくてもいい手間まで大いにかけまくり、依頼主の満足度300%くらいの仕上がりのモノが早々に出来上がった。第一稿をメールで送り、深夜に修正指示が来たものなら、即、手を入れて返信。こちらばかりは無駄に仕事が早い。

さて、後ははレクチャーDVD三本の解説作製。それをするにはまずDVDを見なければならぬ。

タルい。

そもそも筆者はレクチャービデオを見て熱心にお勉強するような勤勉なパフォーマーではない。学生時代はともかく、以後は自分の知識と経験「だけ」から思いついたことを思いついた時に行き当たりばったりに組み込んでいって、大いに曲がりくねった道をたどってパフォーマンスを構築してきたずぼらなタチである。レクチャービデオなんてタルくて見ていられないのである。近頃はライブのレクチャーすら見にも行かない。レクチャー会場に筆者がいるのを見かけたとしたら、それは他にすることがないのでそこにいるだけで、大体においてレクチャーの内容には集中していないハズだ。

そんなこんなで、折角仕事を頂いたのに、どうにもこうにも始めようとしない。DVDドライブがあるデスクトップの方のパソコンを立ち上げ、足元が冷えないようにストーブも付けたものの、「お絵描きロジック」にはまってちっともDVDを見ようとしない。なにしろDVDはメンタルマジック(※)で、しかも英語なのだ。見る気が失せるのも頷けよう?「とにもかくにもマジック大好き♪」な人ならこんな楽しい仕事はないんだろうけれど。

そう言えば、前年の同じ季節にも、同じ方から翻訳のお仕事を頂いた。解説書の翻訳だったのだが、知らない単語がたんとあり、言い回しも面倒臭いものが多くてなかなか苦しい作業だった。今回は大雑把にヒアリングをして日本語でまとめたものを書けばいいので、随分楽なハズなのだが…う~~~む。一向に見る気にならない…。締め切りもあってないようなものだから、学生の頃、大いに功を奏した「〆切効果」も期待出来ないし…。

※メンタルマジック
「アナタの心を読んでどのカードを選んだのか当てます」とゆー類の、サイキックな感じの演出をしたマジックの一分野。世間で「超能力だ!」と騒がれるテレビショーでは実は「メンタルマジック」をやっている場合も多い。ビジュアルな現象よりも話し言葉に拠る部分が多い演技なので、言葉が理解出来なければ全然面白くないワケだ。