韓国

第7節 おもてなし大国

韓国人には1人旅の概念がない?

韓国へ1週間ほど行ってきた。

数年前にソウルを旅行中に知り合った女の子が結婚式を挙げるというので、それへの参列も兼ねて。結婚式は釜山の近くの町で行われたので、釜山を拠点にしてホカの街にも足を伸ばすことにし、今回は食の都、全州に行ってみることに。釜山からバスで3時間のトコロ。ソウルからも3時間くらいのよう。

ところで、今度来る時は連絡してね、と言っていた知り合いのマジシャンの女の子に、全州へいくよ、と連絡すると、予定をやりくりしてソウルから会いに来るとおっしゃる。
ココまでは想定内。韓国人は会いたい人がいれば国の端から端まで移動することも厭わない(ま、日本よりは移動距離が少ないけれど)。以前はソウル付近から釜山まで会いに来てくれた方もいた。

で、どこか泊まるのにいいトコ知ってる?と尋ねると、観光地に程近いオサレなゲストハウスを紹介してくれ、予約を取ってくれ、予約金を支払ってくれてしまった(^_^;)

この一連の流れは想定外。

多分、この予約金はこちらが返そうとしても受け取ってくれないはず。結構な金額なので、これは後日、品物で返すことにする。

さて、私の旅のスタイルはというと、その場所への行き方など最低限必要なことだけ調べ、現地へ行ってから情報を入手し、行き当たりばったりで歩き回る、という、非常に効率の悪いモノなのだけど、旅先で全てのものを見ることなど不可能だしその場で目に入ったものをのんびり愛でるのがいいと思っているからコレでちょうどいいのである。

が、後日、彼女の日記を読んだら、私のために全州についての観光情報を隅々まで調べ上げて抜かりなく案内できるように準備し、上手く案内できるかどうか心配し、朝早くに車でソウルを出発し、私に会えるのを今か今かと待ちわびつつやって来たそうで、
「私のコトを覚えていてくれてカンゲキ!」とまで書いてあった。

わー。

猫(=私)に小判(=詳細な観光情報)。

想定外の展開は以後も続く。

さて、この日の夜、近くの町で知り合いの男の子のマジックの公演があるという。私も1度会ったことがあり、印象的な良い演技をする子だったので、彼女と一緒に一緒に見に行くことにした。公演が終わって挨拶をしにいくと、彼女が彼にこう言った。

「私は今日ソウルに帰らなきゃならないので、明日は彼女は独りになってしまう」

イヤ、独りでも、ぜんぜん、もんだいないんだけど…。

しかし、話の流れは、この時点で私が予想した通り、当初(=韓国旅行計画時)の想定外の方向へ転がっていく。

「じゃあ、明日は僕がこの街(=群山市)を案内します!」

あ。ィヤ、明日は独りで馬耳山(マイサン)という処に行こうと思っていたのですが…。その旨を伝えると。

「馬耳山はとても遠いです」

え。全州からバスで1時間くらいだと思っていたんだけど…

「2時間くらいかかるはずです」

え?そうなの???(実際には1時間だった)

「群山(クンサン)には、日帝時代の日本の建物がたくさん残っているので、それをご案内したいです」

そりゃ、面白そうだけど。

韓国人のおもてなしの基準は…あくまでもジブンなのだ(^_^;) こっちは予定があるって言っているのに、その予定を差し置いてまでも「ジブンがっ!」ご案内して差し上げたい、のだ。

かつて、別の機会に別のヒトに朝まで引っ張りまわされたことがあるのだけど、一部の日本人が眠くてダウンしかかっているのに、「あそこまで行けば夜景が綺麗だから!」と、あくまでジブンの計画通りに観光ツアーを押し進めようとし、なかなか宿へ帰してもらえなかったのだ。

とはいっても、最終的には「馬耳山と群山とどちらにしますか?」とは訊いてくれた。
が、馬耳山と言ったら、相手ががっかりするのは目に見えていたし、馬耳山には後日1人でも行けるから、この際、群山を案内してもらうことにした。

ちなみに、女の子の方の日記にはこう書かれていた。

「群山ツアーをしてくれるという言葉にバトンタッチ!安心して全州でお別れをして、またソウルに帰って来た」

(^_^;)

どうも、韓国人には「ヒトリ旅を楽しむ」という概念がないらしく、1人で韓国をウロウロしている外国人のトモダチが心配でしょうがないようなのだ。そういえば、海外で1人旅している韓国人はあまり見ない。韓国国内でも、ゴハンをヒトリで食べるヒトはあまりいない。いつも仲間と一緒にわいわい楽しくやるのが好きな国民性である様子。

群山ツアーにつづく…≫