Wunderbar! ドイツ入国事情

二〇〇四年十一月、約三週間に渡ってドイツに出掛けた。その前の年に知りったドイツ人青年Svenの計らいで、彼の運営するマジックフェスティバルと、ベルリンで行われたマジック大会に出演する事になったのだ。

ドイツにはそれまでに三回訪れた事があった。一般的なドイツ人のイメージは「堅苦しくて杓子定規」など、あまり良いものではないようだが、筆者はこれまでのところ良い印象しか受けておらず、ドイツにはかなり好感を抱いている。

初めてドイツに行った時、到着したその日、宿泊したYHの受付でイベント会場の場所を訊ねていると、僕も今から行くから一緒に行こうよ、と声をかけてくれた青年がいた。英語が上手く、明るくて気の良い人だった。初めて交流したドイツ人がそんな人だったため、その後のドイツのイメージが良くなったのかもしれない。

その後に知り合ったドイツ人も、総じて礼儀正しく、約束に忠実。筆者が「人として持つべき最低条件」を難なくクリアする人々ばかりだった。この点、イタリア人は全くダメである。時間には送れて当たり前、約束の類もかなりちゃらんぽらん。筆者は契約の関係でイタリア人とトラブルがあったため、こういった用件には慎重になっていたのだが、この手の事には実にきっちりしているドイツ人に関しては、そんな心配は全く無用だった。

実際、彼らはこちらの期待以上の事をしてくれた。

ベルリンの方では英語とドイツ語の契約書を各二通ずつ送ってくれた。それによると、筆者の側が出演をキャンセルする場合は契約書上の出演料と同額を先方に支払わなければならない事になっていた。こりゃ、病気も怪我もできない、なんとしても行かねば!と思ったのだが、その事を後日主催者の方に冗談めかして話したら、災害や病気など、不可抗力の場合はこの限りではないという事だった。これはドイツの法律で定められている事柄らしい。また、Svenの運営するマジックフェスティバルでは、約束された金額の二倍以上が支払われた。あまりにも多過ぎるので、一体どういう事かと訊いてみると、予定より収益があったので、出演者の間で等分に配分した結果なのだという。これも法律で定められているのだとか。いやはや。ドイツになら何度出稼ぎに出掛けてもいいなと心の底から思ってしまった。

イタリアでは契約書も何も発行してくれず、出演料は口約束のみ。そして会期の一ヶ月前に突然、予算の都合がつかないから(多分ウソ)君は来なくていいよ、と言ってきたのだ。ドイツから届いた契約書を見た時、もしイタリアの時のように先方からキャンセルしてきた場合はどうするんだろう?と一瞬疑ってみたが、彼らに関してそのような不躾極まりない事件が起こるはずはないのだった。

ドイツ入国記録

1997年7月
カナダ滞在中、イベント参加のため、ドイツに初上陸。ドレスデンに約一週間滞在。親切なドイツ人青年二人組に出会う。
1999年1月
イベント参加のためドイツに二度目の上陸。名前も覚えられないようなヘンな田舎町に行く。車の街、シュトゥットガルトの近く。そこで見たショーは最低最悪だった。数日滞在。
2001年1月
イベント参加のため、ドイツに三度目の上陸。シュトゥットガルトの近くのジンデルフィンゲンという街。スイス人の友人も会場に来ていたので、イベントの後彼女にくっついて行き、ルツェルンの近くのお宅にお邪魔する。計十日ほど滞在。
2004年11月
イベント出演のため、四度目のドイツ!ベルリンと、ミュンヘンの近くのインゴルシュタットという街へ行く。三週間弱の滞在中ずっと、瀟洒なホテル暮らし。あああ!人生最大の快楽!インゴルシュタットでは自分の苦手分野の仕事もするハメに。人生最大の勉強!また、色々な人と知り合えた貴重な時間でもあった。
2006年5~6月
イベント出演のため、5度目のドイツ+初オーストリア。香港経由でフランクフルトに入り、ウィーンへ飛んで、そこから電車でグラーツへ。まず、ここで一仕事。電車を乗り継いでミュンヘンへ。仕事は約1週間。その後2週間滞在。ドイツ滞在はワールドカップとモロ期間が被っていたため、エラい迷惑した。
2006年10月
スイスでの仕事で交通費をまかない、その後延々1ヶ月に渡るドイツ就職活動の旅。重い荷物を抱えて電車での移動は結構辛い。宿泊はなるべく駅に近いホステルのドミトリー。食事はトルコのサンドイッチ。成果はなかなか上がらず…。
2006年11月
先の旅から帰って2週間と置かず、再びドイツへいくことに。それというのも、2年前に出演したイベントの10周年記念パーティーがあったから。そもそも、それだけのために出かけるのは経費的にいささかしんどかったので、行くのを諦めていたのだが、前回成果が見られそうで見られなかった就職活動先に再び訪れることにして、無理やり理由を作る。フランス旅行に来た友達と奇跡の再会を果たしたり、前回見逃したバラエティショーを見られたり、と、「理由」はあとからどんどんついてきたが。
2007年6月
就職活動の旅、第3弾!?状況は実に芳しくなく、その上滞在中「冷夏」に見舞われて風邪を引く。ベルリンでは知人の中国人に出会い、ナゼかショッピングに借り出されて浪費を薦められる。フランクフルトではシュトーレンを買いそびれる。踏んだり蹴ったり。インチョン空港で働いている友人に会えるかとも思ったが、連絡の行き違いでそれもならず。唯一よさげな思い出は、ベルリンでおいしいラーメンを食べたことくらいか。