韓国
第7節 おもてなし大国

客との間に一線を画さないホテル経営者

以前は旅と言えば1円でも安く!がモットーで、ドミトリーやサウナに泊まるのが常だったのだけど、「オカネは使うためにあるのだ」と割り切りだし、そのオカネは快適さを求めるために使ってもいいのだ、と、専ら個室泊まりに走る今日この頃なのであった。

とはいっても、ただ寝るだけのためにゴージャスなホテルに泊まるのは考え物。必要最低限の設備があり、清潔であればよしとする。以前は「清潔」の部分も譲歩していたのだけど。拠る年波のせいダローか(^_^;)

今回泊まったのは、一応名前は「ホテル」。ただ、ネットの写真を見ると、内装はどう見てもモテル。趣味の悪い壁紙が一面に貼ってある。モテルというのはいわゆるラブホなのだけど、韓国では普通の宿泊にも使われる。案の定、サービスの質はモテル並。しかし、建物自体は古いものの、水周りはそこそこリノベーションなされており、特に不具合はなく、掃除も行き届いていた。その上、部屋の備品は「これでもか」というくらい、イロイロ置いてあった。化粧水やコットンなどの消耗品を始め、タオルは勿論、ガウンまであり、寝巻きを持たずに手ぶらでやって来ても大丈夫なほど。テレビや冷蔵庫、ドライヤーはもとより、給水機や湯沸しポットまであり、パソコンと無線LANも標準装備のようだった。

冬には不要な扇風機や電子蚊取り機は片付けておいて欲しかったけどな(^_^;)

ただし。電話はあるものの、釜山市内にしかかけられず(携帯にはかけられない)外からかかってきても部屋に繋いでもらうことが出来ない。

このことがコトの発端だった。

釜山在住の友達からホテルに電話がかかってきて、宿のオジサンがフロントの電話機をそのまま部屋に持ってきた。後から下に返しにいくから、とジェスチャーで伝えたつもりなのだが、電話が終わって外に出るとまだそこにいた…(O_O)

で、なにやら宿のWEBサイトに関する話を出し抜けに始めた。なにぶん、相手はニホンゴはできないし、私の韓国語会話能力もごく限定的なものだから、何を言っているのか甚だ理解しかねる。

すると、あろうことか(!)、寝巻き姿のオジサン、ズカズカと客室に踏み込んできたのだ!!!少なくとも、わが国においては「ホテル」と名のつく宿泊施設においては発生し得ない事象である!!!

で、この宿のWEBサイトを表示しろ、とワタシに指示。どうも、このホテルへの行き方案内の部分を日本語に翻訳して欲しいようだった。翻訳なんて、そんなにすぐできるものではないし、第一、客に頼むことでもない。しかも客の部屋に押し入って、客のパソコンを使ってするように促すなど…もってのホカ!!!

とにかく早く出て行いってもらいたかったので(「出て行け」と何語ででもいいから怒鳴って、追い出せばよかったのだ)WEBの自動翻訳機能を使って日本語を表示して見せ、
この日本語はかなりおかしなものだから、と言って聞かせた上で件のサイト上に記事として貼り付けるところまではやってあげた。

すると。

お礼に食事をご馳走する、という。そんなお礼は結構だから、と断ったのだが、この先顔を会わせる度にそのことを持ち出され、いい加減うんざりした。友達と会う予定だから、と言っても「友達の分まで払う」と言うし(久しぶりの友達と会うのに、大して親しくもないオジサンがいて邪魔だとは思わないのだろうか?)一旦ココを離れて全州に向かう日の朝にまで言ってくるのだ。一体、他人の予定を何だと思っているのだろう???

友達の親切の押し売りならまだしも、赤の他人の、それも半ば強制的にさせられた仕事への報酬を、有難くもないのに何ゆえわざわざ予定を空けてまで無理やり受け取る必要があろうか?

さて、全州で2泊した後、再びこの宿に戻ってきた。渡された鍵は5階のもの。で、オジサンがなにやら「ラーメン(ラミョン)」とか言っているのだけど、私は殆ど理解できなかった。じゃあ、部屋に行って説明すると言い、一緒に客室に上がってきたのだけど…

通された部屋は無駄に広かった。大きな冷蔵庫とキッチン、ダイニングテーブルがあり、長期滞在者用の部屋のようだった。キッチンの上には戸棚があり、ナベなどが乱雑に入れられている。これでラーメンも作れるよ、ということらしかったが…高々2泊するのにそんなもの作らないし。(が、恐らく好意のつもりだったのだろう)

オジサンは自慢げにスイートルームだと言っていたけれど、部屋の改装の具合から言うと、前の部屋の方が明らかに良かった。それどころか、しばらく使っていないのか、床には髪の毛が落ちたりして掃除が行き届いておらず、そこかしこに私物のようなものが点在しており、なにかしら生活感が漂っているのだ。その上布団や枕にはカバーが掛かっておらず、前の部屋には置いてあったガウンもない。さらに悪かったのは水回りで、洗面所の設備がことごとく古く、洗面台や床の排水口に水が流れていかない、トイレのタンクに水が貯まらない、汚い洗面器やタオルが散乱している、と、とてもまともな客室の様相ではなかった。

残りは1泊のみだったが、翌朝、部屋を変えるようにお願いした。ところが夕方帰ってきても、渡されたのは同じ部屋の鍵。すると、またしてもオジサンが火のついたタバコを持ったまま(!)ズカズカと部屋に入ってきて、土足で洗面所に入り、シャワーの水を撒き散らしながら「水はこうすれば流れるから!」と排水口の網にくくり付けられている針金を引っ張ってみせる(この部分については前日中に自己解決済み)。トイレは水が流れるようになっていたのだが、多分一時的なものだろう。

「火のついたタバコを持ったまま客室に入ってくるホテル経営者」

水周りのことはともかく、これが決定打となった。もうこの宿には2度と泊まるまい。

今後韓国旅行をする方のために付け加えておくと、3ツ星以上のホテルであれば、恐らくこのようなことはないと思います。英語は勿論、日本語は通じるし、日本のビジネスホテル並みの設備は整っているはず。

あ、韓国のYHはかなり豪華な作りでセキュリティがしっかりしているので、プライバシーが保てなくても大丈夫な方であれば、ひたすら安く旅をしたい方には、こんなモテルまがいのホテルよりは余程お勧めです。

後味が悪いので、最後に韓国グルメを紹介記事を書いておきます(^_^;)

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