カナダ
第4節 バンクーバー地域情報

Value Villageは宝の山

カナダにあって日本にないもの、それは激安中古品販売店である。Value Villageという最大手の店は、ある程度の人口の街に大抵一件はある。日本にもこういう類の店はあるが、なにしろ販売価格が高い。カナダの激安店を経験してしまうと、中古品販売店としての価値がまるでない気がするのだ。価格が高いのは、下取り価格が高く、綺麗な物しか引き取らないのが原因だろう。

カナダではシステム自体が違う。古着のバイヤーをやっている知人から聞いた話では、Value Villageでは下取り価格0円だというのだ。つまり、寄付のみで商品を集めている。そう言えば、「何か寄付する物はないですか」と知らない人から電話がかかってくる事が度々あった。Value Villageのテレフォン・アポインターだったのかもしれない。

そんな訳で販売価格は殆どが定価の3分の1もしくはそれ以下、また、店舗面積が広い上、品揃えはかなり豊富である。大抵の中古品が安く手に入るとなれば人も集まる。決して経済状態が良いとは言えないカナダでも、Value Villageは屈指の成長企業らしい。

並んでいる商品は綺麗な物ばかりではない。裾の伸びたトレーナーや、蓋のないティーポット、あるいはティーポットの蓋のみ!骨が壊れた傘、穴のあいたタオルなど、日本では決して商品として並べられる事はない物が少なからず混じっている。しかし不思議な事に、こういう商品が次に行った時にはなくなっている事もある。目先を変えれば本来の使用法とは違った方法で何か使い道があるのかもしれない。

勿論、本来の目的通りに使用できる物もたくさん置いてある。何も持たずに引越して来た人が、取り敢えず安価に生活を始めるために利用するにはもってこいだ。とにかく何でもある。衣類、日用品、家具、自転車、パソコン、食器、電化製品、本、子供服…。状態の良い物ばかりではないが、探せば掘り出し物はいくらでもある。

また、商品の種類が豊富なだけではなく、非常に細かく種類分けされて置いてあるので、目的の物を探すのは結構簡単だ。例えば金属器は金属器でも、真鍮製品、銀製品、銅製品と、そこまで分けてあるのには感心する。

筆者はあまり洋服を買わないのでわからないのだが、お洒落な若い子の話だと、日本に比べてデザインの可愛い古着が多いそうだ。ビンテージ物が混ざっている事もあるらしい。日本の古着バイヤーがそれを目当てにわざわざ買い付けに来る事もある訳だ。これらを表示価格より更に安く買い叩き、日本ではとんでもない高値で売っているらしい。

特に何かを買う予定がない時にふらりと立ち寄ったりすると、つい目を奪われて手を出してしまう事もある。先日、真鍮製品の棚で妙にそそられる物が目に付き、結局同じ形のるつぼを4個買ってしまった。その他にも細い高足のコップが3つ揃った物が、とても綺麗な状態で並んでいた。「なんだかマジックに使えそう」と思ったのだが、これは買わずに済ませた。

また別の時、クリスマスが近いので、友人へのプレゼント、及び郵送用の箱を探していた。たかが箱といえども新品を買うと結構値が張る。しかも良いデザイン、適当な大きさの物がない。そうだ、Value Villageへ行ってみよう、と、あまり期待もせずに出掛けたのだが、綺麗なポインセチア柄の空き缶と、プレゼント用の状態の良いフォトフレームを見つける事ができた。しめて1.98ドル。

百円ショップと同じで、時に無駄な買い物もしてしまうが、何かと便利に活用していたので、「日本にもValue Villageがあれば…」と切に願って止まない今日この頃である。